影踏み/悠詩
 

次は
自分が自分を見つめる番だと

光が消えて
世界が影で満たされても
わたしたちは
その肌で
その耳で
鼓動や体温を感じ取れていただろう

この記憶は
そんなに昔のことじゃあない


 +   +


校庭に伸びる分身を
子供たちは踏みしだく
自分に影があることを忘れて
鬼はひとりであることを忘れて

この世から光が消えたとき
子供たちは
その鼓動から
その体温から
分かり合えることができるだろうか




  鬼さんあちら
   手の鳴るほうへ
    わたしのあとは
     追いかけないで




     わたしのあとは……
     追いかけないで……






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