影踏み/悠詩
次は
自分が自分を見つめる番だと
光が消えて
世界が影で満たされても
わたしたちは
その肌で
その耳で
鼓動や体温を感じ取れていただろう
この記憶は
そんなに昔のことじゃあない
+ +
校庭に伸びる分身を
子供たちは踏みしだく
自分に影があることを忘れて
鬼はひとりであることを忘れて
この世から光が消えたとき
子供たちは
その鼓動から
その体温から
分かり合えることができるだろうか
鬼さんあちら
手の鳴るほうへ
わたしのあとは
追いかけないで
わたしのあとは……
追いかけないで……
戻る 編 削 Point(8)