影踏み/悠詩
 
背けたい黒でも
見つめ続けよう
決して失わないように



  鬼さんこちら
   手の鳴るほうへ
    あたしのあとを
     追いかけてきて


鬼がひろちゃんの
影を踏んだ
ひろちゃんは
楽しそうに笑った


 +   +


ひろちゃんは恥ずかしがりで
人前では喋られなくて
運動も少し苦手で
からかわれたり
わらわれたりすることもあった

でも
ひろちゃんが喋ることを
知っているコもいたし
一緒にゴム跳びで
遊んだりもした

喋らなくても
いつも誰かが一緒にいたし
運動会のリレーで
最後になっても
リーダーの男の
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