影踏み/悠詩
背けたい黒でも
見つめ続けよう
決して失わないように
鬼さんこちら
手の鳴るほうへ
あたしのあとを
追いかけてきて
鬼がひろちゃんの
影を踏んだ
ひろちゃんは
楽しそうに笑った
+ +
ひろちゃんは恥ずかしがりで
人前では喋られなくて
運動も少し苦手で
からかわれたり
わらわれたりすることもあった
でも
ひろちゃんが喋ることを
知っているコもいたし
一緒にゴム跳びで
遊んだりもした
喋らなくても
いつも誰かが一緒にいたし
運動会のリレーで
最後になっても
リーダーの男の
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)