『石の女』/川村 透
で炬燵の横に体をねじるようにして倒れこみ
めくれた袖口から白い腕をあらわにしたまま
うなじを上下させ眠る彼女に、
フラッシュとシャッター音を規則正しく浴びせかける僕は
鬼のように赤く上気した頬を、さらしていたんだろうか?
ふっと憑き物が落ちたかのように僕は、
美しい死体のような彼女に深い罪の意識を覚えたんだ、それは
ひとつシャッターを切るたびに
赤く黒く閉じ込められていた深いところからよみがえって来る
ひとつシャッターを切るたびに
赤く黒く閉じ込められていた深いところからよみがえって来る
石のようだった白い顔に赤みが差す前に、僕は、
彼女に僕の行為を打ち明けようと決意してい
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