『石の女』/川村 透
 

僕はいらだちをかゆみのようにかきむしりながらシャッターを切る
ひとつシャッターを切るたびに
彼女は薄皮を剥くように深いところからよみがえって来る
ひとつシャッターを切るたびに
彼女は薄皮を剥くように深いところからよみがえって来る
石のようだった白い顔に赤みが差す頃、僕は
彼女をベッドに運び隠しカメラのリモコンを指でもてあそびながら
あの至福の一瞬を待つのだ。
眠り姫、
の黄金の瞳がうまく撮れていた試しは、なかったのだけれど。

眠り姫、
と、暮らし始めて、初めての新年を迎えた
白と桃色、つつましやかな振袖姿の彼女を、僕は夜明けまで、
もてあそんだ。
赤い和室で炬
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