線/水町綜助
 

孕んだ
ままで
大きく
たわんで
泣きじゃくって
線に
なる

たくさんの
家家の

とりどりの
屋根が
遠く
みっしりと
凭れ
合っている
赤が
青を
覆い
風が
滲ませる
朝食の
においが
しない


一本の
線の
上を
円が
回り
はしっている
吹き
飛んでいく
目に
見える
ものには
さわれ
ない


さわれ
ない
まま
町と
森を
抜けた

石垣を
過ぎると
いちど
ぬれた
草むらの
匂いが
して
風の
向きが
変わって
それで
うみが開けた
まっすぐの
線と
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