故郷にて/円谷一
鉄の蝋燭のようなロータリーを訳もなくぐるぐると回ってナナカマドの実を酸っぱい顔をして食べる 平和通りは街路樹が電球を巻き付けられて眩くタクシーの列と共に旭川駅まで続いている 旭川駅の線路を見ると君が雪の街愛別から遙々時間をかけてやって来ていたことを思い出す 反対に買い物公園はしんと静まりかえって 犇めくように立っているデパートは背伸びをしながら僕を見下ろしている 思い出のスガイディノス 僕達仲間はしょっちゅうここのカラオケにやって来ていた しかし今は無い
時計の針は10時を過ぎている 夢と悪魔がやって来る時間か しかし僕にとっては故郷が夢の世界のようだし このブロンズ像が悪魔のようだ
君
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