故郷にて/円谷一
旭川の街並みを一望できる山に登ろう 本当は丘の方が良かったのに
僕はベンチに腰掛けて時計の針を動かす風に身を委ねる 僕は水在らあらあさんのようにスペインに行きたいなと羨望する
君の歌を何度も聴いていると君のことを思い出すよ 君が高校時代に上京したいが為に作ったデモテープ 君への濃密な想い 一緒に帰った道のり あれ 雪が降ってきた
空が街並みを真っ暗に照らして 街は自然発光する 銀色にも輝いている
僕は一際ライトアップされた旭橋から湯気の上がっていて静かに自己主張している石狩川を見下ろす ガンジス川にはガンジス川の良さがあるけど 石狩川に死者や遺灰を流しても良いような気がする
鉄
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