般若心経と妹のパンツと汁が飛び交う嬉し跳び大作戦決行日/土田
 
っている。   
 
 割れた、きれいな、形而上の、音、がした。

 その長方形の囲みから抜け出したくて。

 作戦実行日の前の前の晩、藺草の囲みのなかなんて生ぬるくてやってらんない、と親父の二十五度の焼酎「そふと新光」をがぶ飲みし、誰もいないのに、無礼講じゃ、と小声で裏庭ばりの裏林にて呟き、おれの田舎じゃ燃えるゴミは自らの家々で燃やすのが都会への礼儀ってもんでして、ドラム缶に家中の燃えるゴミ突っ込んで、息苦しく、ふ、ふっ、ふっ、ふっ、ふ、すべてが煤になる、すべてが煤になれ、げひっ、げほっ、くるっと一回転、嬉し跳びの一歩手前、前転して泥まみれ、鳥肌立って、イモウトのパンツで洟をかみ、想
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