【小説】朝の食卓にて/なかがわひろか
った。
彼女が僕の誕生日を覚えていてくれたのかは分からないけど僕はとても嬉しかった。
僕らはそのうちに逢って話そうということになり、その時はそのまま電話を切った。
結局僕らはその後逢うことはなかった。
なんとなくお互い忙しくて、僕も彼女と別れてから何人目かの新しい恋人ができたりして、なんとなく逢いづらくなっていた。僕らは毎年お互いの誕生日が来た頃に連絡を取る程度の付き合いになっていった。
時々彼女は僕の誕生日を忘れたりして、何日か遅れてから連絡をくれたりしたけど、僕はそれほど気にしなかった。毎年決まった時期に連絡を取り合うことが僕にとってはなんだかとても心地よかった。
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