source/水町綜助
 
自然さは見当たらなかった

 すっと目を逸らすと犬が戻ってきた

+やっぱりあの窓のある部屋は外の階段からは行けそうにないよ
*ふうん
+きになるな
*ああ
+聞いてみるしかないよな
*そうだな

 からりとドアを開けた店内はオレンジ色に暖かい

$どこいってたの?
*ああ、それなんだけどさ
+ひとつききたいことがあるんだ

 自分たちのカウンターにもどり
 スツールに座ろうと僕たちはカウンターに手をついた

 空腹に四杯だ
 きっと酔っ払ってもいたろう
 体重をかけた僕の手は
 グラスから沁みだして溜まっていたちいさな水たまりの上に置かれて
 そし
[次のページ]
戻る   Point(16)