いくつもの 路上/水町綜助
 
出た
わくわくしていたらインフルエンザだった
タミフルはその後二十六の冬に飲んだが
うなされた挙句夜中に目を覚ました
したらカラスが鳴く声が耳元でひっきりなしに聞こえて怖い思いをした
翌朝子供バッドになって転落死というニュースのこえ
遠巻きにきこえる
少年からして学べてない
確かに熱は引いた
うそみたいに
いやタミフルのことだよ


  *


広場を中心に放射線状に道が伸びている
その広場の中心にそいつはやってきた
やぐらを組んでそこから
すべての路上で行われていることを見るために

ぼくはその広場で貸し本屋としてぼんやりと生きていた
そいつは四六時中
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