いくつもの 路上/水町綜助
なことを事故的につぶやいてしまうところから
すこしだけ
こどもの頃を懐かしんで
そしてすぐに丸めて捨てた
とてもかわいい子だったと思う
一歩歩いてはふと思い
一歩歩いて否定してみて
くだらなさに笑う
どちらにしても町の中
道の上
とどまることができない
*
水溜りは空を映しこむだろうが
さして時間も掛けずにそれは乾くだろう
あたりまえのようにあとにはなにも映さない
路上は乾いていく
ゆるやかなおうとつの皮膚で
陽に焼かれて
*
「道の王」
浮浪者のことだ
焼けすぎて垢じみて真っ黒だ
東京の大通りの植え込みの中で
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