僕の妹/なかがわひろか
ちょうどいいよと言った
妹はしぶしぶ自分の顔を剥いで僕に被せた
誰も落とせなかった人を落としたら
今度はその人の顔を被ればいいからと
今まで被っていた女の人の顔はそのままどぶに放り投げた
妹は僕の顔を使って
その人を口説いた
なかなかうまくいかなかったけど
そのうちその人も折れて
ついに妹はその人を落とすことに成功した
妹はその人の手を取って
社交場で踊った
妹は本当に、本当に
幸せそうだった
僕は笑ったことがあまりなかったから
妹に被せられた僕の顔は少しいびつに皺が寄った
突然社交場に警察が入ってきて
僕の妹は手
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