【小説】322回目のセックス/なかがわひろか
、僕は随分満足していたんだ。
だからむしろ誰が悪いかと言えば、それはきっと僕の方だ。
ほんの一時的なものだと思っていた。だけど今日322回目のセックスをして、僕はほぼ確信した。
僕はセックスでいけなくなっている、と。
それはそれほど問題なことではないかもしれない。
世の中には勃起すらできなくて薬に頼ったり、病院にかかったりする人もいる。だけど僕はそうじゃない。ちゃんと彼女に対して言いようもない性欲を感じるし、そして何より僕はセックスに耐えうるだけの状態を維持することができている。ただいかないだけなんだ。
僕にはこのことが問題なのかどうか正直言ってよく分かっていない
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