【小説】322回目のセックス/なかがわひろか
そんな風に思っていた。
そのときの彼女とは彼女が東京に行ってしまったせいもあって、その後会うことなく別れた。断言してもいいけど、その晩のセックスが原因じゃないことは確かだ。本当にただいかなかっただけで、セックス自体は本当に満足してくれていたんだから。ただ、遠距離によくありがちな理由で(それは会えないとか、彼女は仕事をしていたので、忙しくて連絡が取れないだとかごく普通の理由だ)、別れた事に関しても2、3日友達に愚痴ったりした程度で、その後も後を引くこともなかった。あの晩の彼女とのセックスなんて最近まで思い出さなかったくらいだ。何度も言うけど、当時の僕等が別れた理由は321回目のセックスが原因で
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