【小説】322回目のセックス/なかがわひろか
 
いたい。もちろん中には彼女じゃなくて成り行き(成り行きという言葉はなんて都合がいい言葉なんだ)でそういうことになってしまった人との数も含まれる。彼女がいたときに、そういう人と行ったセックスに関して数字を書き込むときはさすがの僕も罪悪感に満ちる。しかもそれが○3とかだったら余計に。だけどしてしまったのだから仕方がない。だから僕はどんなセックスも正確に日記に記している。
 321回目のセックスは僕が初めていかなかったときのセックスだ。
 セックス自体は彼女もそれなりに満足してくれて、たとえ僕がいかなくても特にフォローもないまま楽しく話をしてその夜を終えた。たまにはこういうこともあるさ。僕はそん
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