口誦さむべき一篇の詩とは何か/んなこたーない
われのおおきなむなしさは
どこに吊るすこともできない。
ほんとうの決断が
へりをのこしてそれを消すだけ。
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これは堀川正美「決断」という詩ですが、一読して分かるとおり、実に苛烈な内容の詩です。
現代の市民生活の内部における鬱屈した精神を見事にsatireしてみせたこの詩は、
この詩人のテクニックを証明していると同時にあやういバランスで成り立っているものでもあります。
というのも、「堀川正美詩集1950−1977」を通読すればより判然としますが、
技巧が過剰になりかつ空回りすると、かえって稚拙なものが出来上がってしまうことがあるからです。
事実、この詩人にはそういう詩が多く
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