口誦さむべき一篇の詩とは何か/んなこたーない
多く、全体的にあまり上手くない印象を残します。
それはともかく、この詩に盛り込まれた表現者として危機感覚と
その感覚の捕捉の仕方にはやはり瞠目させられるものがあります。
観察者ではあるが傍観者ではない。そういった類稀な精神の在り方がここにあるよう感じられます。
真偽・本質を見抜く鋭い眼力とその徹底性はこの詩人をある種の極限状態に追い込むものではないかと推測されます。
表現上はどうであれ、そこから獲得される視線の透徹さは何事にも変えがたい。
だからこそ時代の表層は移り変わっても、この詩は無傷のまま、
「われわれのおおきなむなしさ」を剔抉してみせるニヒリズムは効力を失わずにいるのです。
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