口誦さむべき一篇の詩とは何か/んなこたーない
いまきみは
どんな瞬間?
手をとりあうのは沈黙のとき
肩だきあうのは涙のとき
キスのときさえ
こころをつらぬく言葉も知らず。
敵とわかれば王者のように
カミキリムシなら戦うだろうに
年齢の材質と戦って、暗い内部から出て
明々白々な日々のなか、戦いはじめ
使者の眼にときどき近く
思想の繖形花序をぼろぼろにする
泣きもわめきもしないのは彼が
生きものだから
近似とさえ交わらない絶対の一種。
カミキリムシが九月へ墜ち込んで死んだら
彼を飾れ、飾ってやってくれ。
まじりあった色のへんな斑紋だった友を!
こうして
ちいさな決断は記念できても
われわれ
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