*浮き島/チグトセ
りよく見えなかったので、彼の生温かさを感じなかったので、数秒後には死体のことなんて忘れてしまった。暑くて、胃の毛穴からミルク色のミルクがうんざりしたようにのぼってきて、目を閉じると、そいつはしめじのような頭をした白い幽霊だった。瞳は充血しているのか赤い。コミカルに口を大きく裂けて笑って、コンニチハなんてほざく。ああ、こんにちは。そっちはどうだい。暑いかい?
僕の隣には友人の寺内がいる。向こうの木の茂みにはシノがいる。目の前の灼熱の砂利の上にはサラリーマンが倒れていて、空からは粗雑なプロペラの音が降ってくる。お香のような、おばあちゃんの匂いが薫った。ピアスがひどく痒い。
「お父さんのよう
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