小鳥と青年/はじめ
 
れて初めてだったからとても嬉しかった 俺はどんどん調子に乗り 彼の歌った賛美歌を完璧に覚えていった そしてその度に自慢の歌声を披露した すると徐々に彼の心の扉が開けてきたような気がした 彼は俺が歌うと前より明朗になり活発的になりしょっちゅう俺を散歩へ連れて行ってくれた 俺は歌うことよりも散歩が大好きだった 世界ってこんなにも広いのかと驚きを隠せず 知らない生き物達が風に揺られて歌を歌っている声が聞こえてきた 皆全知全能の神を尊敬しているのが分かった この素晴らしい世界を創ってくれた神に俺は感謝の念を込め天高々に賛美歌を熱唱した
 ところがある日今日も彼から賛美歌を習おうと彼に鳴いてみても反応が無
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