【小説】非習慣的な夜/なかがわひろか
 
やれやれ。
 
話は突然変わって、僕は今から小説の話をするけど、小説といえば、70年代に書かれた小説が好きだ。あの頃は(もちろん僕は何も知らない)、本当にいろいろなことがあった。ただ毎日を記すだけでもとても小説的だった。そんな時代だったんだ(何度もいうが僕はまだ生まれてもいないし、両親は出会ってさえいない)。
 1969年、東大は受験を行わなかった。学生闘争が激しかった時代だ。72年には連合赤軍のあさま山荘事件があったし、その中継の視聴率は今でも歴代一位らしい。ちなみにその日は日本中みんながテレビに釘付けになって犯罪もとても少ない一日だったらしいよ。もちろんこれらのことは僕が二十歳にな
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