【小説】非習慣的な夜/なかがわひろか
 
から。
 しかし、非習慣的な行為があった夜はもうどうしようもない。何をする気にもなれない。僕の精子には夜中に毎日の習慣を行わせる何かがちゃんと含まれていたんだ。僕はそいつらに何の親しみも込めず、むしろ嫌悪感さえ示してパンツの中に放出した。そしてすぐさまそのパンツは洗濯機の中に入れられ、浄化されたのだ。洗濯機の中では今も僕の習慣を司る何かがぐるぐると廻っている。
 とにかく僕は今、何もやる気がない。
 いろんな可能性を考えている。
 とても豊満な体を持った女の人が僕に寂しいと電話を掛けてきたときのこと。
 いつもは僕を邪険に扱う近所の幼馴染が突然僕の部屋に入ってきて、同じコタツに
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