【小説】非習慣的な夜/なかがわひろか
 
ど一日も休まずに詩を書き続けている。何の前触れもなく詩を書くことは始まり、何の前兆のない今でもそれは毎日続いている。
 だけど、虚無的な自慰行為をした夜は、全く駄目だ。いつだって、というとハードボイルド小説に出てくるような男の煙草の煙にくゆらされたような非習慣性を帯びるが、そういう訳じゃない。単純に言おう。とてもやる気がなくなってしまうんだ。
 詩を書いた後は、そこから本を読んだり、映画を観たりする。それはいつものコースで、まさに習慣だと言える。このことを習慣だと言って悪い顔をする人なんていない。こんな夜更けに極めて小さな音で、その習慣をほそぼそと実行している者に世間はとても優しいのだから
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