【小説】非習慣的な夜/なかがわひろか
習慣はやはりとてつもなくつまらないものだ。僕は久しぶりのイレギュラーな生理現象をちゃんと正面から受け止めたにもかかわらず、なんとも味気ないものになってしまった。ほとんど義務だ。習慣を崩してまでしたことなのに、射精の瞬間僕は習慣を一時的にせよ食い止めたイレギュラーな生理現象に本当に正直な虚無感を味わった。これできっと僕はまた何日も自慰行為をすることはない。それだけは、虚無感の中で見つけた真理だ。
虚無感に覆われた自慰行為をした夜は何にもする気が起こらない。
僕は毎晩決まった時間に、詩を書いている。どこに発表する訳でもないし、詩人になれるなんて思ってもいない。だけど9ヶ月間、僕はほとんど一
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)