黄金週間/水町綜助
 

それというのは
花のことだ


  *


光はただ過去を照らしていただけで
それだけだった
遠い距離のせいだった


  *


海へ行きたかったので 俺が 喜望峰へ 誤植のなまえを持つみさきへ


  *


その海は味噌汁だった
数種類の海藻が波間に千切れて
夥しい量が飲み込まれては打ち上げられている
とろみをもって 繰り返し
ほとんど真緑に見えるその中に紛れて
ちらり ちらり と
黄色とオレンジが覗く
近づいて 目を凝らすと 縮れた細麺
手に取ると
ラーメンだった
間違えてラーメンが入ってしまっている
台無しだ
と思ったら
[次のページ]
戻る   Point(18)