黄金週間/水町綜助
それというのは
花のことだ
*
光はただ過去を照らしていただけで
それだけだった
遠い距離のせいだった
*
海へ行きたかったので 俺が 喜望峰へ 誤植のなまえを持つみさきへ
*
その海は味噌汁だった
数種類の海藻が波間に千切れて
夥しい量が飲み込まれては打ち上げられている
とろみをもって 繰り返し
ほとんど真緑に見えるその中に紛れて
ちらり ちらり と
黄色とオレンジが覗く
近づいて 目を凝らすと 縮れた細麺
手に取ると
ラーメンだった
間違えてラーメンが入ってしまっている
台無しだ
と思ったら
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