黄金週間/水町綜助
 
たら海洋生物の類だった
だってみたことないもの
黄色いのやオレンジ色のものや
カラカラに乾いてしまったものが
細く絡み合って波打ち際のそこここに落ちていた
よく立ち止まって見れば海原はアメフラシ
昆布 くらげ ゼリー ひとで
色とりどりのさかなとタンカー
太陽までもくぐらせる 
冷めたスープの表面
の薄い膜
母親が朝方こしらえた味噌汁
さめたうわずみが打ち寄せている
そのなかに指を突っ込んでワカメの端切れをいちまい
指で広げて
太陽を透過させた
金色だったのでたべた
風でしずくが滴って頬にしみを作る
足元に打ち寄せる波には
千切れた海草
海岸の台所


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