黄金週間/水町綜助
 
れながらしずかに
坂道を歩く町に


  *


僕はその町の夜を知らない
知っているのは その先横たわるベッドタウンに向かう
丘陵地の頂に咲き誇った失望と それを育てた太陽のつよさだけだ
あと強いて言えば そのように感じた錯覚だ

じっさいのところ太陽はそれを照らしてなどいなかったし
そんなつもりはなくただ種が運ばれてそこに埋まっただけだった
運んだのはもちろん蜂じゃない
迷子のオランダ人でもない
鳥だ
猛禽だ
青い色をした
猛禽だ
失望に見えたそれは失望ではなく
太陽の光だった
太陽の光に見えたそれはもちろん失望ではなく
太陽の光だった


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