我が家のピエロ/加藤泰清
 
なのに。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。しかし奴はけたけたと下品な笑いかたをしてぼくにひどい口臭をはきかける。口臭と奴の気味の悪い鼻の色を目の当たりにして私は吐き気をもよおしひどく酔ってしまった。おいうちのようにけたけたの振動で水面に波紋ができている。深いところにはぼくの脚が屈折によってねじ曲がっている。もはやひとりでは立てない。椅子の背に腕をつっぱらせてなんとか立っていられた。ペットボトルからはまだ水が溢れている。それにあの白いものも一緒に流れでている。止まらない。ぼくは慌ててキャップを探したのだがどうにも見当たらない。ピエロもどきに、ペットボトルのキャップを知りませんか、とたずねたが奴は
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