我が家のピエロ/加藤泰清
、といったのでミネラルウォーターでよければ、とぼくはペットボトルを差し出した。すると彼は簡単なお礼をいってぼくからミネラルウォーターをすばやく奪いとりあっという間に中身を飲み干した。まだ半分も入っていたのに。ピエロもどきはありがとうと丁寧なお辞儀をしてペットボトルを返した。しかしぼくは手に取ったその透明なボトルの底に白く泡立ったものが浮いていることに気づいた。ピエロもどきは「プレゼント」と一言しゃべった。ぼくはぎょっとして思わずそのペットボトルを彼に投げつけた。いきおいよく回転したペットボトルは彼の頭にぶつかり、中身はそこらじゅうに溢れ飛び散った。部屋は水浸しだ。中身ははもう飲み干していたはずなの
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