【小説】彼女の「思想」とサンドウィッチ/なかがわひろか
が空いたらきっと「思想」作りを中断してサンドウィッチを食べるだろう。もしかしたら食べたらもう「思想」について考えるのが馬鹿らしくなって、僕と太陽の光が注ぐこの部屋のベッドで寝るかもしれない。僕としてはどっちでもいい。ただ欲を言えば、もう少しだけ思い悩む彼女を見ていたいというのはある。
僕は彼女を邪魔をしないように、音楽もテレビもつけない。飲みかけのビールを片手に、サンドウィッチをつまみながら彼女の様子をこっそり見ている。
随分おなかが空いていたようだ。僕の分のサンドウィッチだけじゃ足らなかった。
彼女はまだおなかが空いていないようなので、僕は彼女の分のサンドウィッチから一切れ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)