【小説】彼女の「思想」とサンドウィッチ/なかがわひろか
ことじゃなくて、至極曖昧なもの)を少しずつ否定されたんだろう。誰だってあることなんだけど、彼女はそういうのをとても嫌う。そして決まって次の休みの日は朝からずっとそのことについて考えている。
曖昧なものを考えることの対象にしたときはとても苦労する。まさにそれはパンというものを知らないで、小麦と水だけを渡されて作ってみろ、と言われたときのような状態だ。だから彼女は「思想」をこねたり、伸ばしたり、丸めたりする。そしてそれはなかなか本当の形に辿りつかない。とても厄介なものだ。でもそれはきっとたくさんの人が気づいていることだ。
お昼の時間になっても彼女は一向に昼食の用意をしようとしなかっ
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