チェス:初期設定の話/渕崎。
 
の病と、それの症状とともに浮上した生まれつきの病がいくつか。白い肌は白いというより青く、生気に乏しい。
教室が嫌いだという彼女はほとんどといっていいほどこの保健室に篭っている。成績で上位を取るのを条件に特別に許可してもらっているのだ、私立様様だね、と彼女は笑っていたが。

「わたしの金銭感覚も家庭の話も、彼女にとっては気に入らなかったのだろうな。坊主にくけりゃ袈裟まで憎い、とはちと違うか」
「それはわかりかねますが」
「とにかく、彼女には嫌われたよ。価値観が違ったんだろうな、双方が常に互いにコンプレクスを抱くだけだった。わたしは彼女の生来の才能に惚れていたのと同時に酷くコンプレク
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