百万塔/カスラ
文は、凸版印刷であったことは分かっているのだが、版が木製であったのか、鋳造された金属であったのかさえ未だ不明であるとされている。(版木や鋳型が発見されていない)
実は、この唐三彩やガンダーラ物で有名な骨董商のところにも百万塔の実物の在庫がなく現物を眼にしたことはないのだが、代わりに同じ仏塔型の、わずか8センチ程の仏舎利塔を見せられたことがあった。無垢の水晶製で、その中心には米粒程の白い仏舎利が見える。出所もしっかりしているし、鑑定によるとスリランカで紀元100年頃に造られた物らしいと言う。当時は人造ダイヤによる研磨剤などなかったから、水晶の原石からこれを磨き出すには、数十年もしくは百年以上も
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)