百万塔/カスラ
 
上もかかっただろう。私はバチ当たりなことに、霊験あらたかで聖遺物的なものをまるで価値とはしないので、そのへんはどうでもよいのである。ただそうは言っても、老獪な商人の権化のようなこの骨董商の主人からそれを手の平に乗せられ眺め見ると、溜め息が出た。この神秘な形の、みまごうばかりの美しさ、その上部は虹色に輝いていて、まるで内部から光が射しているかのようである。骨董としてではなく、現代彫刻のオブジェ、クラシック・ジュエリーとして眺めても、圧倒的な美しさに言葉も出ない。確かに形に宿るものの、ある種の凄さをまじまじと感じさせる、その「美」の見事さよ!もちろん、地方都市で3LDKのマンションが買えるプライスタグ
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