星を千切る/
嘉村奈緒
すらもわからないままに(ただ単純
にあなたとわたし(あなた、わたし
わたしが「なんて悲しいのだ!」
と叫べば、ことばは地面へと着床す
る。あの管を通って。降らない。だ
からあなたもわたしも傘を持ってい
ないというのに。あれは空。さんざ
めいて、泣くということを知らない
空。一部だけ薄くて、あれはきっと
自分から生まれたということですら
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