星を千切る/嘉村奈緒
 

          知らないでいる。








           ことばで埋め尽くされる あなた
          に世界は色をつけた 単純に ただ
          単純に泣いて わたしは「悲しい」
          と言えなくなってしまった ブルー
          あの管を知っている? 空はやわら
          かくて 泣けないけれど あなたは
          管の先をさされていたという単純な
          こと それから わたしは傘もささ
          ずに(悲しい…)と濡れていたとい
          う世
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