星を千切る/嘉村奈緒
真昼時だというのに今日はとても しずか
ぷかぷか日和
さあ 空との距離を測ろうじゃないか と
男は上ばかりを向いていたので
湾曲したまま 虹になってしまった
足に節があるもの や 背に毛の生えているものが
宛先もないまま浮かび
くちぐちに 不格好な魚の噂話などをしながら
優しく孕まれるのを待っている
私は腹をついばまれたまま 虹との距離を測っている
こよなく青い空
に
不格好な魚は泳ぐ
その骨で裂きながら泳ぐ
裂け目からはら
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