星を千切る/
嘉村奈緒
はらはらと落ちる 私たち
電線に引っかかってあの魚より
切ない
ぼんやりしながら
あの魚は帰れたのだろうか と 上ばかりを見る
風が電線を揺らす
どこまでもしずか
どこまでも
それでも青い
こよなく青すぎて
泳ぎたくなるのも わかる気がする
線の街
白白とした太陽から伸びた線が
広場の噴水の首
吊ってんの見ちゃった
天辺と底辺がくっついたもんだから
引っかかった渡り鳥は
母子家庭の食卓に並
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