さそりの火/鯨 勇魚
 
で繰り返す音が
幻聴のように変わるのです

双眼の中で空は現実
一つまた一つの星が消えました
いいえ生まれ変わって
こんどは
激しい炎
揺らめきではなくて
アンタレスの激しい輝きという
争いではなくて
誰かしらへの想いであり
死んだのちの
さそりの火でした

帰港までの冬の空は
散るものを
隠す為に白むのではなくて
いつかは無音の
知る

それはそれぞれの
不寝番に立って
見つめ合うのかもしれません
記憶を繋ぎ命までのおしまい

あたしたちの中での記憶とすれば
消えてしまいやすい
生まれかわりでしか
ありませんでした

蝋燭の揺らぎまだ
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