さそりの火/
鯨 勇魚
まだ
遠くある街並み
すべて見える世界
見えない心の中ごとに
燈るさそりの火が燃えている
優しく
やさしくなりたい
十指を組みながら願う
願えば願うほどに
セイタカアワダチソウの群生が重く
雪を背負い込み
この願いさえ誰かしらが
苦しむことなのかもしれないと
哀しむしかなかったのです
どこかしらで揺れる
激しい炎が揺れる
生きる為に消えてしまう
さそりの火が
誰かしらに
燈る
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