現象でしかないひかり/水町綜助
 
美化だろうか

一年間という時間の上に
自分が寝そべっていた
夏ごろにのっぺりと溶け始めたそれは
時間のきめ細やかな肌にしみて
秋が来て冬が来て
寒くなって固まってしまった
春が来ても溶けなかった

夏が来ても

   *

あぶら蝉が鳴いていた
じりじりとうるさかった

   *

とある夜
環状線とは名ばかりの道路を
走っていた
町外れにまで車輪は転がり
信号は黄から赤へ
シフトダウンして
GS750Gってクソ重たい単車で
4、3、2、
がおんがおんがおんうう
じんじんしてる
じんじんときこえる
アイドリングよりうるさいよなんだ

[次のページ]
戻る   Point(37)