現象でしかないひかり/水町綜助
は何も答えられず
お見舞い用のリンゴとグレープフルーツを注文
午後にとりに行くと伝えたがまた後日にした
と、これはうそ
詰まっているものがどうにもじゃましている
*
あくびを一つ
右耳が通った
電車でトンネルを抜けた後によくあるあれだ
あれが治った
頭はまだ重い
どうすればいいんですか?
と、自分に問うてみる
沈黙
あたりまえだ
*
ごご
十九歳だった
と
久しぶりに自転車を漕いでいて
四月の薄暮をかき混ぜながら
頭の中に投げてみる
そのときもこんな状態だった
もっと重たかったと思うのは
単なる美化
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