現象でしかないひかり/水町綜助
 
は何も答えられず
お見舞い用のリンゴとグレープフルーツを注文
午後にとりに行くと伝えたがまた後日にした
と、これはうそ

詰まっているものがどうにもじゃましている

   *

あくびを一つ
右耳が通った
電車でトンネルを抜けた後によくあるあれだ
あれが治った
頭はまだ重い

どうすればいいんですか?
と、自分に問うてみる

沈黙

あたりまえだ

   *

ごご

十九歳だった

久しぶりに自転車を漕いでいて
四月の薄暮をかき混ぜながら
頭の中に投げてみる

そのときもこんな状態だった
もっと重たかったと思うのは
単なる美化
[次のページ]
戻る   Point(37)