詩集・人生の最中に/生田 稔
 
らですやろ、お金がなかったらあいてにされしまへんどすさかいなあ

「うちこちゃんおじかんどすえ」

ほなほんまに、またきておくれやすや

外は、とっぷりとくれ灯ともしころ
あしどりがはやいのをみて、ひきてばあさんたち、よびかけず
かいちゅう、電車賃のみ  加茂の川原はアベックだらけ
いえのものも、どうせそんなことやろと、おもているやろと
片心にかんがえながら
でんしゃにのる、まだ二十二歳、みらいはどうなるのやろと、ようやとかんがえだしたとしごろ、ようしょの幸福論などとりよせて、字引くびつぴきで、このなつ よみおわったところ  聖書をよもうと、こうこくをみたら千二百円もする

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