詩集・人生の最中に/生田 稔
どっちかと論争した
ウエルテルが咎めるロッテの冷たさ
ウエルテルこそ男らしくなかったと
ロッテは言う
愛想つかされ、女心を知らず
ロッテを得られなかった
詩を書く人は常に不遇
僕もその一人かも
詩はあまりにも鋭く心を突く
それだから小熊秀雄やバイロンやゲーテ
と交わる
少しづつ彼らをのぞいてみる
アダムはきっと岩清水で顔を洗っただろう裸のイブと自分が美しくて
満足しただろう、彼らの幸福は
誰も知るまい
君詩を書きたまえ
朱色の口紅を塗るよりも
石鹸で洗った顔に
輝く美しさを見出さねば
心の中に朱色の口紅のような
詩を書くとき
君は幸せだ
君よ
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