灰色レンズアイの男/カンチェルスキス
ができないんだろう。
よくある話が聞いたような話読んだような話なんかが
世界の隅々を覆い尽くしていて
よくある話とセリフと表情がスライドしていって
使用され詳細は違っても語ってることは同じで
沈黙が存在することを意識するのは一人のときじゃなく
むしろ二人のときでそれが嫌がために
しゃべり続け
確かにそれは何かになってる
おれたちが生き残るための何かか
おれたちが死なないための何か
おれたちは根本的に間違っててすでに取り返しがつかなくなってる
という
考えを抱かせないための何か
おれたちが決してやり直そうという気を起こさせないための何か
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