『レクイエム・レモン/ひかり』/川村 透
の
うしろを歩く同伴者の一人、だ
兄貴は行ってしま、う。
わかっていたことだふりかえる二人はやさしい
ドクロの笑みをたたえて、ああ
世界はこうして黒いレモンから生まれたんだ
黄色くはにかんだ心で祝福しよう涙は柑橘系のしぶきをあげる僕の頬は
柔らかい防波堤だ
足元で
死はぴちゃぴちゃと波に姿を変えて爪先よりももっと下から舌なめずりをしている
太陽のフレア、なんだ。
鏡の間/海の道/再び路上で待つ/君とフレア、いたい/これで最後だ
君の名は?と投げかけると、君の、歯は笑って
あなたは?ね?、と、僕に聞き返したんだろう?ホントウは。
でも僕には
アントワネット、と、
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