『レクイエム・レモン/ひかり』/川村 透
 
ずで黄色くはにかんだ
ように歯を見せて
首飾りは黒いレモン、ああ、大きくなってゆく君の黒いレモンはもう
ラグビーのボールみたいでそれでも君は軽やかに堤防から身を踊らせて海面に
鏡の界面に立つ。
骸骨みたいに細く白く喪服の君は大きな黒いレモンの首飾りをして小首をかしげる
何か言わなければ、最後、なんだから。
僕はドギマギしてどこかのフォークシンガーみたいに間の抜けた問いかけをしてしまう
そんなバスケットボールみたいな黒いレモンを、首からぶらさげて歩いていると
おまわりさんに呼び止められたり、しないかい?

君は夕陽に向かって海をすべるように歩いてゆく、あに、もいつのまにか君の
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