白山羊さんからの手紙/はじめ
 
くことはありませんでした。私は、彼が死んだ悲しみよりも、彼に私の詩を見せることができなかったことの方が悲しいです。こんな話、赤の他人の貴方に伝えるなんて、私、どうかしちゃってますよね。けど、この手紙を貴方に送ることによって、悲しみを埋めることができるんじゃないだろうかと思ったのです。私の詩に共感してくれた貴方なら、ずっと私の詩を読むことを喜んでいた彼も魂が神様の元へ迷うことなく辿り着けるし、安心できるんじゃないかと思ったのです。…長々と長文、すみません。もう私は詩を書くことはないでしょうけど、貴方に手紙を書く力が残っていて良かった。最後に、最後の力を込めて、彼への鎮魂の詩、餞の詩を書き記そうと思い
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