空飛ぶ機械のための習作/はらだまさる
んで生きて欲しくはないと思う。そんなことのために苦しんで、人生を台無しにして欲しくはない。とても馬鹿げたことだ。もし逆にぼくの妻がそうされたら、ぼくはどうするだろうか。妻や妻の家族には申し訳ないが、ぼくはその相手を許す努力を死ぬ気でするつもりでいる。実際は、そうなってみなきゃわからないけれど、ぼくはそうするつもりだ。妻が殺されて憎む理由の末端には、ぼくが妻を愛したという責任がある。誰も憎みたくないのなら、誰も愛してはいけないのかも知れない。そういう世界に今現在、この瞬間もぼくらは生かされている。
そして、恨み、悲しみ、イライラし、怒り、妬みが作動している機械であることによって失っているものは、
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